2018年2月26日月曜日

独仏伊一人旅(53) 6月5日(日)昼過ぎ アッピア街道を歩く(3)

La Tenuta e il Casale di Santa Maria Nova

サンタ マリア ノッヴァという農家の不動産とでもいうのだろうか、街道から少し東に入ったところにある3階建ての住居跡Country Houseと約4ヘクタールの土地の複合遺跡で、2006年ローマ古代遺産監督庁に買い取られたそうだ。
住居は8世紀ごろに建てられたと考えられていて、中央左の塔の部分は2世紀まで遡ることができるらしい。
展示施設もあったが、中を見ないまま草原を歩いて隣(奥)のVilla dei Quintilliクインティㇼ ヴィレッジへ進んだ。
 il Casale di Santa Maria Nova サンタマリアノッヴァの住居と土地
Villa dei Quintilli クゥインティルスのヴィラ

(1)全体の配置…案内板

広々とした草原のなかを車のとおる道に沿って進むと前方にぽつりぽつりと遺構らしい形が見えてきたものの、一体どれくらいあるのか、どこからどこまでかを掴めなかったが、最後に寄った接待所で見た案内板でようやく全体の配置がわかった。以下、この案内板によりながら、見学した遺構を紹介したい。
Villa dei Quintilliの案内板
案内板の上部を横切る線がアッピア街道(旧)で、右側はTenuta di Santa Maria Novaで、左寄りがNinfeo della Villa dei Quintilliである。下部の太い横線はアッピア新街道で、中央が遺跡だ。住居や浴場(温水と冷水)、劇場、庭園、噴水など、堂々たる建物や装飾的な庭があったという。

【余談】ヴィラは、もとローマ郊外の居住地で、紀元151年の執政官だったクインティルス兄弟の所有地だったが、時を経て皇帝コモドゥス(在位180‐192年、皇帝マルクス・アウレリウスの子)のものとなったそうだ。

アッピア新街道方向(東方向)方に、della Villa dei Quintilli の遺構が見えた。左からEとD、前方右寄りにC、Bがあった。
ヴィラの遺構(全景)
(2)Settore termale calidario 温水浴場の遺構(案内板E)
Settore termale calidario 温水浴場の遺構(1 南面)
【余談】左手前方のやや低いところに円形の建物跡(案内板F)が見える。後記(7)参照
Settore termale calidario 温水浴場の遺構(2 東面)
(3)Settore termale frigidario 冷水浴場の遺構(案内板D)

Settore termale frigidariio 冷水浴場の遺構(1 南西方向)
Settore termale frigidariio 冷水浴場の遺構(2 東面)
(4)プール ? 案内板DとRの間
プール ?
(5)Grande Esedra e ambienti di rappresentanza 素晴らしい回廊のある半円形の広場と装飾的な環境(案内版R)
Grande Esedra e ambienti di rappresentanza 素晴らしい回廊のある半円形の広場
(6)Cortili porticati 柱廊付き中庭跡… 中央・四角形の更地(案内板T)
Cortili porticati  柱廊付き中庭跡
(7)Edificio curvilinio 円形の建物跡(案内板F)

円の直径は結構が長かったので、相当大きな建物、ドームだったかもしれない。つぎの写真(1)は右(西)方向、(2)は右(東)方向である。(1)には、右前方に、Settore termale frigidario 冷水浴場の遺構が写っている。
Edificio curvilinio 円形の建物跡(1)
Edificio curvilinio 円形の建物跡(2)
(8)Settore residenziale privato 私的な住居地区の遺構(案内板B)

手前左手の長方形の遺構は、Settore residennziare di rappresenntanzaと呼ばれる住居跡という。
Settore residenziale privato 私的な住居地区の遺構
(9)Grande Ninfeo 大噴水(案内板H)

 西方向にみえた大噴水Ninfeo と呼ばれる遺構である。当日、ここの鉄門が閉まっていて入れなかった。その時、鉄門の隙間から映した写真である。
Grande Ninfeo 大噴水
ちなみにここは第5マイルに位置し、鉄門の脇に大理石のマイルストーンの石柱が立っていた(この写真は午前中にここまで来た時に撮ったもの、逆光のようで暗い)。
Grande Ninfeo 大噴水の入口
さて、随分時間がかかったが、アッピア街道での見学を終えて、次の目的地に進むことにした。アッピア新街道に向かって右回りに小道を下っていくと、Accoblienza 接待所(隣りはAntiquiarium 収蔵館)に至った。ここで、ガイドブックを購入してから、バス停へ向かった。
ところが、バス停 Villa dei Quintilliで思いもよらない問題が生じた。切符の売り場が見当たらなかった。118番のバスは来たが、運転手と話が通じなかった。何度か試みていると、運転手が可哀そうだと思ったのか載せてくれた。ありがたく感謝した次第。程なくバスは発車した。