2017年9月28日木曜日

独仏伊一人旅(45) 6月4日(土)午後 バチカン美術館(6)タペストリーのギャラリーから地図のギャラリーへ

5.タペストリーのギャラリー Galleria delle Arazzi

タペストリーを両側に展示した通廊である。昼過ぎで、多くの人たちが見学していた。
タペストリーのギャラリー
幼児虐殺 The Massacre of the Innocents

取り上げられたテーマが何ともすさまじい。キリストをめぐる歴史の一コマ…マタイによる福音書など聖書に取り上げられた幼児虐殺のエピソードを織ったタペストリーで、ベルギーのブリュッセルにおいて1524-1531年ごろに織られたのものだそうだ。
幼児虐殺 ブリュッセル 1524‐1531年
Justice Faith(Relesion),Charity 正義の信仰(宗教)と慈悲

このタペストリーは、クレメント8世の勲章の装飾カバー Ornamental Cover of the throne of Clement Ⅷで、1523‐1534年に、ブリュッセルの作業場で織られたものだそうだ。横465cm、縦532cmと、大きい。2頭のライオンは「正義の信仰(宗教)と慈悲」を語っているという。
クレメント8世の勲章の装飾カバー ブリュッセル

6.地図のギャラリー Galleria delle Carte Geografiche

このギャラリーの天井画は絢爛豪華ということばが当てはまるほど、金色に輝いていた。天井画には「下の壁に描かれた地方と関係のある教会の歴史の重要なエピソードが表されている」そうだ。壁には、イタリヤ半島の都市や農村の地図が北から南へ展示してあった。向かって右側にはアドリア海側、左側にはティレニア海側の地図が展示されていたそうだ。
地図のギャラリー 金色に輝く天井画
Roma,per sacram B.Petri sedem caput orbis effecta ラティウムとサビーナ(ラティオ南部)、ローマ市

多数の地図が展示されていた中で、ローマ市の部分を拡大して描いた地図を紹介しよう。左下にローマ市の部分が描かれたこの地図は、1900年に入って、16世紀の大宇宙家イニャツィオ・ダンティ Ignazio Dantiの地図を下書きにして描かれたらしい。
ラティウムとサビーナ(ラティオ南部)、ローマ市
7.ソビェスキの間 Sala Sobieski

長い地図のギャラリーを通リ抜けて出会ったのがソビェスキの間だ。壁には、ポーランド王ポーランド王ヤン3世ソビェスキをヤン・マテイコが描いた大きな絵が掛かっていたが、この部屋の名前の由来でもある
ポーランド王ヤン3世ソヴェス ヤン・マテイコキ 
【余談】ポーランド王ヤン3世ソヴェスキは、1683年にウィーンでトルコ軍を破ったことで知られているらしい。ヤン・マテイコ(1838-1893年)は、ポーランドの著名な画家である。以前、ポーランドを旅行した折に、この画家の作品を見たことがある。




2017年9月17日日曜日

独仏伊一人旅(44) 6月4日(土)午後 バチカン美術館(5)燭台のギャラリー

5.燭台のギャラリーGalleria del Candelabri

2階に上がり最初に入った燭台のギャラリーでは、壁、天井、床などが美術作品で覆われていた。

天井画3点
天井画1
天井画2
天井画3
床の装飾
床の装飾
彫像 ディアナ(アルテミス)

ローマ東郊のハドリヤヌス帝の別荘から発見されたという女神の彫像である。彫刻家の手で修復のうえ、1781年に美術館に売られた。ローマ神話ではディアナ、ギリシャ神話ではアルテミスというそうだ。見れば見るほど奇妙な姿をしている。
ディアナ(アルテミス)
【余談】説明文によれば、“Lady of the Animals"として崇拝され、胸に重なるものはbreasts(おっぱい)、一説にはbulls' testics(雄牛の金玉)とも解釈されているらしい。紀元前4世紀の後半に造られた彫像から、ローマで多くの複製が作られたということだ。

2017年9月11日月曜日

独仏伊一人旅(43) 6月4日(土)昼 バチカン美術館(4)キアラモンティ美術館、ブラッチョ・ヌオーヴォ

4.Galleria Chiaramontiキアラモンティ美術館からBruccio Nuovoブラッチョ・ヌオーヴォ

ピーニャの中庭の面した東側の建物で、内部は非常に長い通廊になっていた。その両側に数多くの彫刻が展示されていた。

Stutue of a Woman ある婦人の像
Stutue of a Woman 
Colossal Head of Athena アテナ・プロマコスの巨大な頭 前5世紀

ペイディアス(古代ギリシャの彫刻家)の初期の代表作といわれるアテナ・プロマコスの像の古代ローマ時代(紀元117‐138年)の複製とか。アテナ・プロマコスは、古代ギリシャ時代の守護女神。
Colossal Head of Athena 大理石
Statue of Goddess Breastfeeding a Baby 授乳する女神像
授乳する女神像
ヘラクレスと幼いテレポス

ヘレニズム末期(紀元前1世紀末か?)の彫刻のトラヤヌス帝(在位98‐117年)時代の複製という。
ヘラクレスと幼いテレポス
ガニュメデスと鷲 Statue of Ganymede with Eagle

紀元2世紀半ばの古代ギリシャ(紀元前4世紀から3世紀まで)の彫刻の複製という。ガニュメデスはゼウスに浚われ、オリンポスに連れた来られて神々に杯を捧げ持つ者とされることになったという。
ガニュメデスと鷲
次に2階へ上がり、燭台のギャラリーGalleria dei Candelabriからシスティーナ礼拝堂Chapella Sistinaにつながる長い通廊を進んだ。
つぎに、れていた。

2017年9月1日金曜日

独仏伊一人旅(42) 6月4日(土)午前 バチカン美術館(3)ピーニャの庭

3.ピーニャの庭 Cortile della Pigna

四方を美術館MuseoやギャラリーGalleriaの建物に取り囲まれ、中に十字に通路が設けられていた。通路のベンチに腰掛けて休みながら周りを見渡した。
南側の建物の手前に金色に輝く「球のある球体」やその先の屋根越しにサン・ピエトロ大聖堂のクーポラ(ドーム)が見えた。
北側の建物の壁龕(Niche 窪んだところ)に、巨大な松ぼっくりPignaの彫刻がそそり立っていた。
この松ぼっくりは、1~2世紀ころに鋳造され、8世紀の終わりに旧サン・ピエトロ大聖堂の玄関前にあったこともあり、現在地に移設されたのは1608年という。
北側 巨大な松ぼっくりPignaの彫刻 ブロンズ製
【余談】松ぼっくりの下の台座は、アレクサンデル・セウェルス帝(在位222‐235年)の浴場の柱頭だそうだ。また、両側に配置されている2羽の孔雀(ブロンズ・メッキ)は宇宙の不滅の象徴という意味を持っているらしい(もとは、ハドリアヌス帝(在位117‐138年)が139年に建設したサン・タンジェロ城にあった)。

Sfera con sfera 球のある球体 直径400cm

アルナルド・ポモドーロ Arnaldo Pomodoroというイタリア人彫刻家の作品だそうだ。
下の写真は、外側の球体(直径400cm)に割れ目ができ破れたところから中の同じような球がむき出しになっているように見えたところ。見る位置、角度によって見える姿が異なる不思議な彫刻だった。
Sfera con Sfera(Sphere Withen Sphere) ブロンズ製 1990年
説明別の角度から見た球体


【余談】”Sfera con Sfera”で検索してみるといろいろな情報にふれることができた。
その一つ目は、同じような彫刻が、箱根の彫刻の森美術館をはじめ、何か所で展示されていること。二つ目は、この彫刻は回転すること、それも人が押せば回転することだ。

少し体も休まったように思えたところで、東側の建物に戻った。