雨が降っていた。気温も低く、セーターを取り出し来てでかけた。途中のカフェ―でパンとコーヒーで朝食とした。オペラ通りを黙々と歩き、コメディフランセーズの前で右折し、リシュリュー通りを進んだところがルーブルだった。良く知られたガラスのピラミッド(美術館への中央入口)に近づくとすでにかなりの人が並んでいた。
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ドゥノン翼の外観 建物の向こう側をセーヌ川が流れている。 |
チケットを持たない人の列に並んだ。30分余り経って足元が冷えてきたころ、入場が始まった。携帯電話で予約をしていた人は画面をかざすだけで入っていくのを見て、しまったと思った。エスカレータで下りたところが半地階のナポレオン・ホールと言われるフロアで、ここで入場料を払い、音声ガイドを借りた。
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半地階 ナポレオンホール |
館内案内カウンターで「見取り図と館内のご案内」(日本語版、以下「ご案内」)をもらった。それによって、美術館は、①ガラスのピラミッド(1989年、ナポレオンの中庭といわれる中央に建設された)を囲むように3つの翼、ドゥノンDenon翼、シュリ―Shully翼、リシュリ―Richelieu翼から構成されていること、②予定した15時までの時間では全体を見ることは不可能だということ、③収蔵品は各翼の半地階から1階、2階、3階の4層に、⒒の時代と地域の区分に分けて展示されていることなどが分かった。
どのように見ていくか。明確な計画を立てずルーブルを見たいと思って訪れた人間のために、「ご案内」には、各階のお勧め4点、合計16点の作品名、展示室番号、その場所が示されていた。これだと思い、そのガイドに沿って進むことにした。
(1)ジョコンダ 通称「モナリザ」 レオナルド・ダ・ヴィンチ 1503~1506年頃
ドゥノン翼の2階展示室6へ向かった。すでに大勢の人が作品の前で写真を撮っていた。
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”ジョコンド” 通称モナリザ |
同じ階に展示されていた絵画のなかで写真を撮った19世紀フランスの重要作品
(美術館最大サイズの絵画)
カナの婚礼 パオロ・パリアーゼ、通称ヴェロネーゼ 1562~1563年 666×9901cm
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"カナの婚礼” |
(皇帝の栄光)
ナポレオン1世の戴冠式 ジャック ルイ・ダヴィッド 1805~1808年 621×979cm
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"ナポレオン1世の戴冠式" |
(2) 新古典主義とロマン主義の対立
ジャン オーギュスト ドミニック・アングルの2作品。
オダリスク(グランド・オダリスク) 1814年
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"オダリスク" |
トルコ風呂
1862年 シュリ―翼3階展示室60
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”トルコ風呂” |
(3)サモトラケのニケ ドゥノン翼のダリュの階段の踊り場に据えられた大理石の彫像。高さ245cm、台座を含む高さ328cm
サモトラケはエーゲ海に浮かぶ島、ニケは勝利の女神。船首に立ち強い風に向い翼を広げる雄々しさは女神とも思えない姿ではある。
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"サモトラケのニケ" |
(4)アフロディーテ 通称ミロのヴィーナス メ
ロス島、紀元前100年頃、大理石、高さ211cm ドゥノン翼1階展示室16
大勢の写真を撮る人の姿が見られたが、そのはずで、ここに愛の女神アフロディーテ、通称「ミロのヴィーナス」の彫像があった。現代のギリシャ語でメロス島をミロというそうだが、この彫像は、この島の農地で発見された。
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”ミロのヴィーナス” |
(5)2体の奴隷像
同じドゥノン翼1階展示室4で見たミケランジェロ・ブオナㇽローティ(通称ミケランジェロ)「瀕死の奴隷」
と「抵抗する奴隷」の2体の奴隷像。
1513~1515年頃
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”瀕死の奴隷” |
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”抵抗する奴隷” |
(6)古代エジプト タニスの大スフィンクス 古王朝 紀元前2600年頃 シュリー翼1階展示室14
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タニスの大スフィンク |
棺 シュリ―翼1階展示室14
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”棺” |
巨大な花瓶 キプロスのアマトゥスで出土したらしい。一体何に使われたのか、不思議な遺物。
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"Vase Colossel" 巨大な花瓶 |
(7)イスラム美術
”モンソンのライオン(獅子の香炉)” 12~13世紀 ドゥノン翼半地階展示室B
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獅子の香炉 |
昼飯も食べず(レストランの入り口ℬ並ぶ長い人の列を見てあきらめたこともある)、見続けてきたが、歩き疲れと渇きのため休みたかった。ナポレオン広場に戻って、飲み物の売り場を見つけ、水を求めた。ほっとしたところで時計を見ると、2時を回っていた。
そのまま、人の流れに沿ってショッピングセンターのような店舗が連なる通路を出口らしき方へと進んだ(そこは、ギャルリー・デュ・カルーセルというモールだった)。そして、リヴォリ通りに出た。雨が降り続いていた。
【参照本】 ①「ご案内」、②美術館で購入した「ルーブルのすべて 作品/宮殿の歴史/建築」(日本語版14.5€)