2017年1月11日水曜日

独仏伊一人旅(22) 5月31日(火) オルセー美術館 絵画2


4.印象主義の誕生

アルフレッド・シスレーAlfred Sisley(1839-1899)が氾濫後のポール・マルリの風景を描いた連作6点のうちの2点である。シスレーはイギリス人だそうで、「光と色彩豊かな都市や農村、河辺、田園などを生涯にかけて描き」、印象派を代表する画家である。
ポール・マルリは、セーヌ川沿いの村で、1876年雪解けの水があふれ洪水が起こったそうだ。
上:ポール・マルリの洪水 下:ポール・マルリの洪水と小舟 アルフレッド・シスレー 1876年
【余談】 左側の建物は現存するそうで、1階はカフェ、2階はホテルになっているとか。

アルジャントゥイユのひなげしCoquelicots a Argenteuil クロード・モネClaude Monet(1840-1926)

印象派の代表作と言われる作品です。土手を下る親子は、モネの妻カミーユと息子ジャンという話、土手の上にも親子の姿が描かれているがこちらにもモデルがあるそうだ。
アルジャントゥイユは、パリの北西、セーヌ河右岸の街という。
 
アルジャントゥユのひなげし クロード・モネ 1873年
羊飼いの娘(小枝を持つ少女、座る農家の娘とも) La Bergere カミーユ・ピサロCamille Pissarro(1830-1903年)

この作品は、1882年3月の印象派展に画家が出展した34点の一つだそうで、「その完成度と探求的表現は、この時期の作品の中でも特に重要視されている。」という。
羊飼いLa Bergere カミーユ・ピサロ 1881年
5.近代のパリ

床の鉋かけ(床削り、床に鉋をかける人々とも) Les Raboteteurs de parquet ギュスターブ・カイユボットGustave Caillebotte(1848-1894年)

カイユボットはブルジョア階級の人だったそうで、そういう人が下層階級の労働者が働く姿をやや下向きの目線で描いたことも当時は非常に珍しかったようだ。同じテーマの作品がもう一つあるという。
床の鉋かけ ギュスターブ・カイユボット 1875年
貧しき漁夫 Le Pauvre pecheur ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ Pierre Puvis De Chavannes(1824-1898)

シャヴァンヌ は象徴主義の巨匠と呼ばれている。ある美術史家によれば、象徴派の作品はある何かを暗示(象徴)しているということだが、この「絵が暗示しているもの」は何かと問い、「ルカによる福音書」第4章に書かれた、イエスと漁師のシモンが対話する場面を引用している。
貧しき漁師 シャバンヌ 1881年
【余談】 この作品と同じ作品名をもつ絵(約10年後に制作されたらしい)が、松方コレクションの一つとして上野西洋美術館の収蔵品にあるそうだ。ただし、右半分がなく、子どもは男の後に寝かされている。

髪長き水浴の乙女 Baigneuse aux cheveux longs ピエール・オーギュスト・ルノアール Pierre Auguste Renoir(1841-1919)

「特に枯渇時代後の1890年代後半から最晩年まで数多く手がけた『水浴の裸婦』を画題とした作品のひとつ」とされる。素晴らしい! この作品は、オランジュリー美術館の収蔵品である。
髪長き水浴の乙女Baigneuse aux cheveux longs 
ピエール・オーギュスト・ルノアールPierre Auguste Renoir 1895年
オペラ座のオーケストラOchestre de l'Opera エドガー・ドガEdgar Degas(1834-1917)

この作品には、いくつかのエピソードがあるらしい。まず、中央のファゴットやその左後ろのチェロの奏者は画家の友人で、彼らの紹介で画家はしばしばオペラ座に通うようになったことが知られているそうだ。また、後景にチュチュ(バレエで身に着ける襞のついた衣服)を着けた踊り子の下半身が描かれているが、チュチュを着けた踊り子を描いた初めての作品ということだ。
オペラ座のオーケストラ エドガー・ドガ 18
次回は、オルセー美術館 絵画3です。「近代芸術の到来」、「後期印象主義」の作品を紹介します。

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